インソースが考える「グローバル人材」(1)〜グローバル人材が求められる背景と必要な素質

最近特にお問合せの増えている「グローバル人材」について、当社執行役員の井東より3回に渡り、お伝えいたします
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■ インソース執行役員:井東昌樹 プロフィール

東京大学教育学部
株式会社三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)入行。国内での法人営業、シンガポールにおける日系企業現地法人の法人営業、プライベートバンキングの業務企画などに従事。 その後、ジャスダック上場外食チェーン企業にて取締役CFOとして、管理本部、経営企画室、広報・IR室、海外事業部を管掌し、企業再生に従事。 又、大手会計事務所系コンサルティング会社にて、主席コンサルタントとして、金融・財務・企業再生・事業計画策定・業務改革・営業力強化などのコンサルティングに従事。


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リーマンショックグローバル化を加速
グローバル企業は随分前から、「グローバル人材を早急に育成しなければ
ならない。」とか、「海外拠点の現地化を進めなければならない。」と言
ってきました。少なくとも、私が銀行時代にシンガポールに赴任していた
時には、既に声高に叫ばれていたことを鮮明に記憶しています。

とは言えど、グローバル化は、当時から大きく前進してこなかったように
感じます。なぜならば、何だかんだ言っても、多くの大企業は、日本中心
に成長戦略を描くことができ、実際に成長できてきたため、本当の意味で
の危機感がなかったからではないかと思われます。
しかしながら、リーマンショックが起こったことにより、状況は一変しま
した。バブル経済崩壊の傷が癒えたと思ったら、未曾有の世界同時不況に
陥ってしまいました。この出来事によって、このままでは将来の成長戦略
が描ききれないという、強い危惧の念が生まれたのは間違いないと思いま
す。

実際この1年で、弊社のお客さまからも、グローバル人材育成が大きな課
題であるとか、グローバル人材育成をどう進めたらよいのか教えて欲しい
という声を、よく耳にするようになってきました。

また、外部環境を俯瞰してみると、以下のようなことが言えるのではない
でしょうか。

1.日本の少子化が急速に進展するため日本マーケットは大きく縮小する
2.アメリカ中心に回っていた世界の政治経済が、中国など新興国の台頭により、勢力図が大きく変わっていく可能性がある
3.海外のグローバル企業が世界での生き残りをかけて、国境を越えたM&Aを進めている(日本企業も外資系企業に買収され、グローバル企業になる可能性も十分ありえる)
4.中国、韓国、台湾などアジア諸国の企業が、日本企業を凌ぐ実力をつけてきている
5.日本企業も、輸出型海外拠点から現地生産現地消費を前提にした拠点づくりを進める必要がある
  などなど

つまり、世界での生き残りをかけた熾烈な競争に打ち勝つためには、グロ
ーバル人材を真剣に育成しなければならない状況になってきた訳です。

そこで今回は、グローバル人材をどのように育成していくのかについて、
簡単に記します。


■ 必要な3つの資質〜打たれ強さ・頑丈さ・キャラクター
まず、グローバル人材に必要な資質については、以下の3点が求められる
と考えています。非常に能力の高い人でも、この3点が備わっていないと、
海外で活躍することが難しくなる可能性があります。私も自身の経験から、
身をもってこれらの大切さを痛感しています。


1.打たれ強いメンタリティ
これは、慣れない異国の人たちと接しながら勤務しなければならないこと、
日本以上に一人で問題解決していかなければならないこと、本社からのプ
レッシャーが強いことなどから、打たれ強いメンタリティが必要であると
いうことです。

2.頑丈で長持ちする体力
これは、仕事の負荷が日本以上に大きいこと、特に暑い東南アジア、南ア
メリカなどでは、体力消耗が激しいこと、加えて、海外勤務者は簡単に交
代できないことなどから、体力がないとやっていけないということです。

3.現地に溶け込めるキャラクター
これは、現地の人たちから親しまれ、現地に溶け込めるキャラクターを持
つ、異文化を積極的に理解しようとする姿勢を持つことが非常に大切であ
るということです。日本の本社ばかりを見て仕事をしていては、一向に現
地を理解することはできませんし、現地化を推進することもできません。

次に、グローバル人材に求められる要件について、触れたいと思います。


■ 前提は2つの要件〜柔軟さ・モチベーション
グローバル人材に求められる要件の前提条件として、以下の2点が挙げら
れます。

1.異国の文化や価値観、考え方を理解すること

2.異国で働きたいという意欲、モチベーションを持っていること
意欲、モチベーションがない人が、会社の命で海外赴任した時に、うつ病
などの精神疾患にかかって帰国を余儀なくされたという話を聞くことがあ
ります。私も、2週間で帰国した人に遭遇したことがありました。


■ 求められる2つの能力〜コミュニケーション能力、マネジメント能力
これら前提条件のもと、求められる要件として、大きくは、以下の2つの
能力があると考えています。

1.コミュニケーション能力

異国でコミュニケーションをとるうえで必須であるのが、語学力です。最
低限の語学力がないと、現地スタッフと意思疎通を取れないために、業務
遂行に支障が出てしまいます。

しかしながら、コミュニケーション能力が備わっていないと、仮に語学力
があってもダメです。具体的には、日本において日本語で、概念的、論理
的に考え、相手に伝えることのできる能力が身についていないと、いくら
語学力があっても、ビジネスにおけるコミュニケーションはうまくいきま
せん。曖昧で情緒的な言葉で通用する日本とは異なり、外国では、論理的
で明確な言葉で伝えないと相手には伝わらないことを、肝に銘じておくべ
きでしょう。

2.マネジメント能力

現法社長、マネジャーなどマネジメント層にはやはり、マネジメント能力
が必須です。国内と海外でのマネジメントの違いはあるものの、マネジメ
ントの根本に変わりはありません。つまり、海外拠点での方針、方向性を
決め、スタッフを導いて目的を達成するためにマネジメントすることです。

日本では、すぐそばに多くの人がいるので、組織の長に立ったとしても、
周囲の支援を仰ぐことが比較的容易です。しなしながら海外では、組織が
どんなに小さくても、自分がトップに立ち、自分で考え、意思決定し、マ
ネジメントしなければならない場面に多く遭遇します。

以上の2点から言えることは、国内人材とグローバル人材とは全く違うも
のではなく、グローバル人材は、社会人の基礎能力に、語学力、異文化を
理解することがプラスアルファになったものと解釈すべきです。つまり、
グローバル人材育成は、国内での人材育成の延長線上にあり、特別なこと
をすることではないということです。

http://www.insource.co.jp/